ペイオニア記事(東南アジア越境EC)

東南アジア越境ECの事情と今後

 

本レポートは、東南アジア越境EC(中華圏)にフォーカスを当て、メリカ越境ECとの比較したものである。

 

【東南アジア越境ECの事情と今後】

東南アジアに出店した事業者(メーカー、問屋等)にヒアリングをかけたが、「期待値ほど反応がない」との声が非常に多い。

もっとも、売れないわけではないが、アメリカや中国と比較をしてしまうが故に、ネガティブな声が上がりやすい状況下にあると考えられる。

個人的にも、ShopeeやLAZADA、HERMO、TOKOPEDIA等、東南アジア系モールに出店しているが、どうしても米国と様々な観点で比較してしまいがちである。

マーケット成熟度や各国ルール、マーケット事情が根本から異なるので、東南アジア越境ECを成功させるには、今までの経験値を0ベースで考え、コツコツと積み上げていく必要がある。

以下の通り、CAGEフレームワークでアメリカとの違いの一部を掲出してみる。

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結果思う所は、東南アジアと米国では越境ECというくくりでも「違うビジネス」と考えたほうが良い。

また、ビジネスにおいて、越境ECにおいて「なぜこの商品は売れる、売れた」という源泉を考えたことはあるだろうか。

事象の源泉、歴史を考える事が、長い目で見て継続した販売につながると個人的に重要視しているポイントである。

※個人的に言うと、例えば、Amazon各国でよく売れる商品のカスタマーレビューは、どんなに多くても必ず目を通すようにしている。

そのため、なぜ、いま米国越境ECマーケットが成功しているのか、過去変遷を考える必要がある。

 

【米国越境ECが成功している要因事例】

読者の方々は米国ECを行いつつ、米国の現地マーケットを確認したことはあるだろうか。

実のところ、越境ECで売れる日系商品及びメーカー、ブランドの70%以上(推定)が、長い年月かけ米国で店頭販売及びブランディングの施策(展示会出店等)をされている。

つまり、日系アジア系店舗や展示会に行けば、越境ECで売れるものが散見される。

ご存知の通り、EC販売の強みはロングテール商品が棚代なく販売ができる事が大きな強みである。

これに加え、更に米国越境ECではレギュレーションが今なお不安定なところがあり、通常米国の店頭で販売できない商品も越境ECでは販売され、エンドユーザーの手元に届けられている事も市場拡大認知拡大のポイントともいえる。

更に加えると、人種が様々であるため、人種マーケティングせず出品しても、どこかの人種に知らず知らずハマっている可能性も意外と気づかぬポイントである。

そして、米国マーケットは先般の記事でも紹介した通り、そもそもインフラ(輸送、法律、システム周り)が整っていることも、継続した経済規模拡大の大きなアドバンテージともいえる。

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※ATKearneyから引用

東南アジアにおいて越境ECで売れない理由は、法律、輸送、決済、システムのいずれか及びすべてがまだ整っていないため安定しない事と、小売店での販売網・配荷率が高くない事も大きなポイントと言える。

そして、各国の人種別の特徴を把握せず出品していない可能性も上げられる。

分かりそうで理解できていない、アジアの独特な文化・環境が、現在の東南アジア越境ECに影響を及ぼしている事が言える。

 

【アジアの独特な文化的環境的特徴とは】

文化・環境とは、例えばタイを例に挙げる。

タイはご存知の通り、上位20%が経済市場の多くを占めている。つまり日本の商品を購入できる層は限られている。

その上位20%の多くがクレジットカードを保有していたとしても、実際は全ての嗜好品をタイで購入するわけではない。

実際、輸送インフラが不安定で、EC購入の受け取りの主人公は、依然コンビニ受け取りである。

また越境の場合は通関も不安定なので、実際のところは越境ECダイレクトで輸送する事よりも、安全を期してaCommerce等のフルフィルメントセンターを利用するEC業者も少なくない。

また実際現場の小売店や問屋に聞いてみると、嗜好品はシンガポールにLCCでショッピングに行って買ってくるケースも少なくないと聞いた。

実際タイーシンガポールは飛行機で2時間程度なので、名古屋・大阪から東京に買い物に行く感覚でショッピングを楽しむことが可能なのである。

 

【ではスタートアップはどこがおすすめか】

まず参考までに東南アジア各国のオンライン小売市場規模を掲出する。

※2015年、2025年(想定)

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あまり参考になるデータではないが、販売商品によるが総括した市場感を考えると、シンガポール向けが商品ブランディングを考えた上では良いと考える。

 

理由は3つ、

1、オフライン市場の成長可能性が高い

ドン・キホーテが現地小売店を買収し、大きくオフライン市場参入を企てている。

ドン・キホーテは海外での小売店成功経験も多く、また買収後の動きも良く、シンガポールでも席巻する可能性が高いと考えられる。

そのため、オフライン市場の成長と市場醸成と共に、市場感が更に醸成される可能性が高いと言える。

 

2、インフラが東南アジア各国と比較して明瞭

法律、輸送、決済で、ハードルになるものが少ない。

不安定な法律面も少ないので、輸送、税務、通関等々含め、継続した販売が可能である。

 

3、情報収集が簡単

マリーナベイサンズ等で行われる展示会、イベント等も認知されており、多くの企業が出店している。

例えば、そこに集まる企業を狙っていけば、一気にオンラインオフライン共に情報取得ができ、現地ディストリビューターとも繋がりやすい環境にある。

一方、デメリットは人口の少なさと場合(商品)によって発生する高額な税金(代表例:車)と言える。

ただ、考え方次第では人口に関してはデメリットとは言い切れない考え方もできる。

例えばタイと比較して考えると、実際の潜在顧客層(平均年収)から考えると、タイの対象ターゲット人口(富裕層)は600万人前後となり、シンガポールと場合によってはほぼ変わらない可能性がある。

<タイの富裕層の定義過程値>

・富裕層を月収50,000THB

・人口6,779万人(2018年)

・2020年の富裕層は10%を超えると予測

加えて、シンガポールでの成功は東南アジアの成功のハブになる可能性が高いと考えるため、まずはシンガポールから攻めていってはどうだろうか。(オンラインオフライン双方とも)

 

【まとめ】

多くのビジネスが、継続したトライアンドエラーによってビジネスが構築される。

また冒頭でも触れたが、個人的経験から、アメリカ越境ECとは違うビジネスと考え、0からの意識で取り組むべきと言える。

また文化的・制度的の観点から、多品目の販売よりも、しっかりと商品を選定した販売が継続販売につながる可能性が高いと考える。

繰り返しになるが、東南アジアでは国によってハードルが様々異なるため、また取扱商品によっても、各国の輸入通関、関税、ニーズ等により異なる。そのため成功しているモデルも多品目販売よりも、商品選定し国別マーケティングをした販売者が売り上げを伸ばしている印象が強い。

継続ビジネス、積み上げになるビジネスモデルとして構築するために内部環境、外部環境を「ある程度把握」した上での、出店計画が必要であると考える。