越境ECで海外販売をされている方にとって、消費税の還付は非常に重要な収入源となります。
消費税還付を正しく受けるためには、適切な帳簿を作成しなければいけません。
もし誤った帳簿を作成してしまうと、後の税務調査で<消費税還付の取り消し>という重大な問題になりかねません。
つまり、消費税還付を正しく受けるためには、会計ソフトを利用して<どのような帳簿を作成すべきか>がポイントです。
このポイントのことを、「消費税の帳簿要件」といいます。
本記事では、「消費税の帳簿要件」について、解説いたします。
※なお、帳簿要件については専門的な話となりますので、上記の記事を読んでもピンとこない方は、税理士に任せることをおすすめいたします。
「この記事は下記の方を対象にしています。」
・これから海外販売を始めようと検討されている方(初心者)
・既に海外Amazonで販売している方のうち、税務調査の対応をしたい方(中級者)
消費税の帳簿要件は2パターンある!
消費税法では、「輸出売上」or「仕入・経費」により、帳簿に記載すべき事項が変化いたします。
具体的には、以下の事項を帳簿に記載しなければいけません。
輸出売上の帳簿要件
① 販売先の氏名又は名称
② 年月日
③ 商品名、商品毎の数量及び価額
④ 資産の譲渡等の対価の額(税込み)
⑤ 輸出先の国名、住所(仕向地)
- 根拠条文: 消費税法施行令第71条(帳簿の備付け等)、消費税法施行規則第27条(帳簿の記載事項等)、消費税法施行規則5条(輸出取引等の証明)より必要部分のみ抜粋して記載
仕入・経費の帳簿要件
① 相手方の氏名又は名称
② 年月日
③ 資産又は役務の内容
④ 支払対価の額
- 根拠条文: 消費税法第30条(仕入れに係る消費税額の控除))
輸出売上の帳簿要件で注意すべきポイントとは?
輸出売上の帳簿要件については、国内売上と比較して厳しい内容となっています。
輸出売上の帳簿要件 | 国内売上の帳簿要件 |
① 販売先の氏名又は名称 | 省略可能 |
② 年月日 | ② 年月日 |
③ 商品名、商品毎の数量及び価額 | ③ 商品名、商品毎の数量及び価額 |
④ 資産の譲渡等の対価の額(税込み) | ④ 資産の譲渡等の対価の額(税込み) |
⑤ 輸出先の国名、住所(仕向地) | 省略可能 |
上記の表のとおり、国内売上の場合は、帳簿に記載すべき内容のうち一部を省略できる特例があるのに対して、輸出売上の場合は、原則通りすべての情報を帳簿に記載する必要があるのが注意点です。
(実際に税務調査の現場でも、チェックされる箇所です。)
どのように対応すればよいのか?
輸出売上の帳簿要件を正しくに記帳するためには、利用するプラットホームによって全く違う方法で情報を入手しなければいけません。
こうした情報は、利用するプラットホームによって期限が定められているケースがありますので、漏れなく入手できるよう対応する必要があります。
対応策としては、「税理士と協力し、事前の綿密な打ち合わせによりプラットホームに合わせた資料の受け渡し方法を決めておく」事が重要になります。少なくとも、毎月の打ち合わせにより、資料の入手漏れがないかなどの確認を取る事をおすすめいたします。
仕入・経費の帳簿要件で注意すべきポイントとは?
仕入・経費の帳簿要件については、実務上は下記のような対応をするのが一般的です。
仕入経費の帳簿要件 | 実務での対応方法 |
① 相手方の氏名又は名称 | ① 相手方の氏名又は名称 |
② 年月日 | ② 年月日 |
③ 資産又は役務の内容 | 領収書などで対応 |
④ 支払対価の額 | ④ 支払対価の額 |
なお、越境ECで海外販売される方は、薄利多売となり取り扱う商品量が膨大になりやすく、かつ、インターネット仕入等により領収書の入手が上手くできないケースが多々ありますので、税理士との事前の打ち合わせにより、仕入先別に「どのような証憑を準備しておくべきか」を確認しておくことが重要です。
まとめ
上記にて、消費税還付を受けるために必要な帳簿の作成方法をまとめました。
いかがでしょうか?
消費税の帳簿要件は、専門的な話であり難しいため、もし上記の記事を読んでもピンとこない方は、税理士に依頼されることをおすすめいたします。
- 消費税還付を受けるためには、帳簿要件以外にも沢山のステップがあります。以下の記事で、消費税還付の一連の流れについてまとめていますので、ご覧ください。
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